【コララインとボタンの魔女】感想や考察:美しく奇妙なファンタジー映画「コララインとボタンの魔女」の評価

こんばんは!

今日は「コララインとボタンの魔女」の感想です!!

鑑賞のきっかけは友人。なんか面白い映画無い?と聞いたところ、1番最初に挙げてくれました。友人曰く、「小さいときに見てちょっと怖かったんだけど面白くて、大きくなってから見ても、好き!!!」だそう。

ちなみにこの友人、秋田出身の楽器も舞踊も歌もできるスーパー色白教養激高音楽美女ですがとてつもなくポンコツです!(笑) この間は寮の点検日を間違えて管理人さんと寝起きの下着姿で対面したらしいです。愛すべきへっぽこです!!(笑)

観終わった感想は、「ダークファンタジーって、なるほどこういうことね!!」

評価は星3.5です!

映画の基本情報

【監督・脚本】ヘンリー・セリック

【題名】コララインとボタンの魔女

【原作】ニール・ゲイマン

キャスト・登場人物

コラライン:ダコタ・ファニング(日本語吹き替え版:榮倉奈々)

アパートに引っ越してきたばかりの青い髪の毛の女の子。このお話の主人公です。仕事が忙しい両親にかまってもらえず、かなり不満な様子。寂しいと感じているようです。好奇心旺盛で、勇敢な少女です。

ママ:テリー・ハッチャー(戸田恵子)

コララインの母親。料理はしません。演芸雑誌のライターで、締め切りに追われコララインをかまっていられないことも多々あるようです。泥は嫌いです。

パパ:ジョン・ホッジマン(山路和弘)

コララインの父親。手料理は、娘から「スライム」と言われています。ママと同じく演芸雑誌のライターです。庭いじりは嫌いです。

ボビンスキー:イアン・マクシェーン(斉藤志郎)

コララインの家の上に住むおじさん。とびネズミのサーカスを訓練していますが、身体能力が高すぎてネズミよりもあんたがサーカスやったほうが良いよ!って思ってました。

ミス・フォーシブル:ドーン・フレンチ(宮寺智子)

コララインの家の下に住むおばあちゃん。若い頃は女優だったらしいです。現在はでっぷり太り、死んでしまった犬は剥製にして、生きた犬とミス・スピンクと一緒に暮らしています。

ミス・スピンク:ジェニファー・ソーンダース(小宮和枝)

ミス・フォーシブルの同居人。こちらも元女優らしく、若い頃めっちゃきれいです。彼女も結構太っています。胸が爆弾並に大きいカツラのおばあちゃんです。

黒ネコ:キース・デヴィッド(劇団ひとり)

クールでつっけんどんですが、なんだかんだ助けてくれます。イケメンならぬ、「イケネコ」ですね!筆者の推しキャラです。

ワイビー:ロバート・ベイリー・Jr(浪川大輔)

大家さんの孫。口数が多めな陰キャです。コララインにストーカー呼ばわりされていますが、まあ、大体合ってます(笑) いつも自転車で登場します。

あらすじ

ピンクパレスアパートに引っ越してきた少女コララインは、仕事で忙しい親にかまってもらえず新しい友達もいなくて退屈しています。コララインが家の探検中に見つけた小さなドアは、とても不思議なものでした。なんと、扉の向こうは”別の”世界への通り道だったのです。

”別の”世界には、優しいママとパパ、美味しいご飯、楽しい見世物、素敵な庭。”別の”世界は何でも願いが叶う魔法のようなところでした。一つ決定的に違うのは、みんなの目。すべて目はボタンで出来ていたのです。

ずっとここにいたい!と願うコララインですが、”別の”世界に居続けるためには自分も目をボタンに変えなくてはならないと告げられます。怖くなったコララインは”別の”世界からの脱出を試み、逃げ出すことに成功します。が、家に帰るともっと大変なことが。

元の世界を取り戻すため、コララインの勇気ある戦いがはじまります。

本編の感想

U-NEXTでの鑑賞だったのですが、紹介文に「ダークファンタジー」とあったんです。観終わった感想でも言ったように、確かに「ダークなファンタジー」でした!

ダークといってもお化けがたくさん出てくるようなホラーとは違った、奇妙で美しい世界観の作品でした。お化けもまあ出ては来るんですが、脅かしたり呪いをかけたりしない良いお化けなのでお子さんも安心して見られます。

子供が見てももちろん楽しめますが、大人が見ても楽しめるし考えさせられる作品でしたよ!!

よかったところ

デザイン

まずキャラクターデザイン。かなりデフォルメされていますが、キャラクターの独特な造形とデザインが物語の雰囲気によく合っていました。物語全体に、不思議だとか、不気味だとか、ある種の「違和感」を覚えさせる効果が生まれ、ドキドキ感が増しとても引き込まれました。

そして、キャラクター以外の背景などひとつひとつの独創的なデザインも美しいんです。とても素晴らしいものでした。超おすすめポイントは”別の”世界の庭!!”別の”パパの手で作られた庭なのですが、色鮮やかで本当に本当に綺麗なんです。鑑賞の際は、ぜひご注目ください。

友人の「何度見ても面白い」という言葉に、映画全体の美しさからも納得です。ひとつひとつが最高に綺麗なので、二度目以降も満足感があると思います。

ボタンの目という設定

原作が児童文学ということですが、ストーリー設定が素晴らしかったです。特に”別の”世界の人たちはみんな目がボタンという設定は、秀逸でした。

目は、小さいですが顔の中でとても目立つパーツですよね。

顔文字って、日本と英語圏で違うと聞いたことがあります。英語の顔文字は、:D、:-P、:-)、:-(、というように、口元の変化で表情を変えているのに対し、日本語の顔文字は、(^_^)、(T_T)、(・_・)、(*>_<*)、といったように、目元の変化で感情を表現するそうです。

「目は口ほどにものを言う」という言葉がありますが、本当にその通りです。”別の”世界のキャラクターたちは、表情において重要な二大要素である「目と口」のうち、片方の変化が全く無いのです。これは、見る者に違和感や不信感を与え、”別の”世界のキャラクターの本心を隠す効果にも繋がっています。

喋れない”別の”ワイビーが、良い例ですよね。本当は笑いたくなんてないし、声を出して話したいのに、そうできない。そして、鑑賞者が無い部分を補い感情を読み取ろうとする、つまり見る者の想像力を引き出す、とても良い設定だったと思います。鑑賞者が能動的に物語に入り込むための工夫ですね。

華麗な場面転換

場面転換が素晴らしい!とてもスムーズでした。特にファンタジーは、情景が飛び飛びなため場面転換が難しいと思います。表現の難しい文学作品の見事な具現化に、演出力と想像力の高さを感じました。鑑賞中、場面転換のたびに、おお~と声が出ました。

あまりよくなかったところ

ストーリー進行

前半のストーリー進行がややゆっくりで比重が重く、後半に様々な展開を詰め込みすぎな気がしました。映画全体も若干長いかなあ。どうせ同じ時間なら、ある程度先の展開が読める部分はサクッと進んで、最後のドキドキ感をもっと長い時間味わいたかったなと思いました。

絵の美しさで退屈はしませんでしたが、前半をもっとテンポよく進めて後半の展開ひとつひとつを丁寧に描いても素敵だったかなと思います。前半に鑑賞のためのエネルギーを取られちゃったかんじが少しだけしました。1番ハラハラするのは後半なので、そこにかけるための精神力というか、気力を残しておいてほしかったような気がします。

でも楽しいシーンが多くなるから、子どもには良いのかな!!!

印象に残ったシーン・考察

コララインが理想的な”別の”世界へ行く場面です。

まず、”別の”世界に通じる通路。幻想的で、青くて柔らかそうな、秘密の通り道というかんじがします。人間にとっての安心感、何となく母胎さえ彷彿とさせるようなイメージのデザインでもあります。しかし、魔女の存在が明らかになって以降は薄汚れたホコリまみれの危険な道に変わります。この通路は、前半と後半で対比がとても上手く出来ていると思いました。

そして、理想の世界。子供の欲求を適切に理解していますね。優しい両親や楽しい隣人、食べたいものが食べられて、欲しいものは何でも手に入る。そして、歓迎されること。コララインは新居へ引っ越したことで孤独を感じていました。大好きな友達と離ればなれになり、両親からはかまってもらえない。

新しい土地には友達もいません。だれも自分の話を聞いてくれないことに、コララインは不満をもらしていました。でも、”別の”、つまり理想の世界に行けばみんな自分に好意的で、楽しくて優しくて、自分は幸せになれます。元の世界とのギャップが大きければ大きいほど、この世界に留まりたいという気持ちは強まります。

相手を落とし込みたいときには「弱みにつけこむ」のが有効ですよね。ストーリーはとても上手くできていて、多くの子どもの共感を掻き立てます。「寂しい子どもたち」という発言もありましたが、どこかに寂しさを持っている子どもは、欲求の解消に対して貪欲になってしまうのかもしれません。

ほぼ全ての子どもは慢性的であれ突発的であれ寂しい生きものです。満ち足りた状態って大人も子どもも同じようにそんなに長く続くものではなくて、どこかでバランスを取りながら生きていますよね。特に世界が狭くハケぐちを持たない子どもという存在は、弱くて脆いため落とし込みやすいのでしょう。

この映画を一言で表すと

「美しく奇妙なファンタジー」。

子どもはハラハラドキドキのストーリーで、大人も魅力的なデザインで、みんなで楽しめる、素敵な作品でした。ちょっとだけ不気味な感じも、独特で面白かったです!!

まとめ

「コララインとボタンの魔女」とても美しく面白い作品でした!子どもだけでなく大人も楽しめます。是非一度鑑賞してみてはいかがでしょうか。

細部までかなり凝っているので、何度も見ても楽しめると思います。また違った考え方ができるようになるかもしれません。満足感は高いですよ!

来月はハロウィンですね!!子どもから大人まで集まるパーティーなら、上映会にもおすすめですよ!!!